今回はSIGMA fpを購入してから2ヶ月ほど使ってみた感想や使用感を紹介してみたいと思います。
購入時にはキットレンズのSIGMA 45mm F2.8 DG DN Contemporaryと、ズームレンズも1本あると便利かなと思って、コスパのいいPanasonic LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6も一緒に購入しました。
今回はSIGMA fp本体のレビューになりますが、またタイミングを見てレンズ単体のレビューも書けたらと思っています。
SIGMA fpを2ヶ月間使ってみた正直な感想ですが、使いやすいカメラかと聞かれると、そうではありません。
操作性や機能面で見ると、いわゆる「便利なカメラ」とは言いづらい部分も多いです。
でも、そのシンプルで無駄のないデザインや、写真に表れる解像感や色味の美しさにはとても惹かれました。
使っていて、なんだか気分が上がるというか、所有する喜びを感じられるカメラだと思います。
普段はSONY α7IVをメインで使っているので、ついそちらを基準にして比べてしまうところもあるかもしれませんが、あくまで個人的な感想として読んでもらえたらうれしいです。

今回は動画機能は使わずに写真撮影のみで使ったレビューになります。
- ファインダーがない
- ボディ内手ぶれ補正がない
- モニターがチルトでもバリアングルでもなく固定式
これらの点については、個人的には事前に承知したうえで購入したので、今回はメリット・デメリットとしてあえて細かく触れない形にしようと思います。




SIGMA fpのスペックと外観
SIGMA fpの基本スペック
センサー | 35mmフルサイズ 裏面照射型CMOSセンサー |
有効画素数 | 約2,460万画素 |
マウント | Lマウント |
ISO感度 | ISO 100~25600(拡張でISO 6~102400) |
シャッター速度 | 1/8000秒~30秒(電子シャッターのみ) |
連写性能 | 最大18コマ/秒 |
AF方式 | コントラストAF(顔/瞳検出あり) |
モニター | 3.15型 約210万ドット(一部タッチ操作対応:AF位置指定など) |
記録メディア | SD/SDHC/SDXC(UHS-II対応) |
手ブレ補正 | なし(動画時、電子手ブレ補正) |
ファインダー | なし |
サイズ | 112.6 × 69.9 × 45.3 mm |
重量 | 422g (SDカード, バッテリー込) |
静止画撮影可能枚数 | 約280枚 |
SIGMA fpのデザイン・外観
まずは、SIGMA fpの外観から見ていきたいと思います。
このカメラの魅力のひとつである無駄のない洗練されたミニマルデザインがとにかくかっこいいんです。
正面から見ると、とてもコンパクトで無駄がないスッキリとした印象。


背面のボタン類は、下部にボタンが並んでいるなど一般的なカメラとは少し異なる配置になっています。
最初は気になるかもしれませんが、使っていくうちに自然と慣れて特に不便は感じなくなりました。


上部にもボタンやダイヤルがシンプルに配置されていて、全体のデザインに統一感があり、見た目もスマートです。
特に印象的なのが、前後にスライドする電源ボタンと、写真・動画を横にスライドして切り替えるモード切替ボタン。
一般的なカメラとは少し違った操作感ですが、この独特なスライド式の動きが、SIGMA fpらしさを感じさせてくれます。


側面はシャッターボタン側は1/4インチネジ穴があって、グリップやストラップを装着可能。
反対側はUSB-C端子・HDMI端子・マイク端子・1/4インチネジ穴があります。




続いて、重さについても少し触れておきます。
ボディ単体(キャップ・SDカード・バッテリーを付けた状態)での重さは実測で430gとフルサイズとしては非常に軽量です。


α7IVはボディ単体(バッテリーとメモリカードを含む)で約658gなので比較すると非常に軽量で、持ち出すハードルがぐっと下がります。
使って感じたSIGMA fpの良かった点(メリット)
洗練されたデザイン
上でも少し触れましたが、やっぱりSIGMA fpのデザインはとても魅力的です。
全体的に無駄がなく、シンプルでかっこいい印象があります。


カラーはマットなブラックで、他のカメラと比べても凹凸が少なく、全体的にフラットなデザイン。
余計な装飾がないぶん、見た目にスッと馴染むような上品さというか高級感があります。
ボディの前後カバーにはアルミニウムダイカスト(素材について詳しくはありませんが)が使われていて、触るとひんやりとした質感。
手に持ったときの剛性感・安心感がすごいです。


そして、個人的に気に入っているのが、fpロゴのサイズ感と、その周囲の余白のバランス。
控えめだけど存在感があり、全体のデザインにうまく溶け込んでいる感じがします。


フルサイズセンサーでありながらコンパクトで軽量なデザイン
SIGMA fpはフルサイズセンサーを搭載しているにもかかわらず、とても軽量でコンパクトなボディが特徴です。
実際に重さを計ってみるとボディ単体(キャップ・SDカード・バッテリーを付けた状態)での重さは実測で430g。
「本当にフルサイズ?」と思ってしまうくらい驚くほど軽いです。
とはいえ、軽いとは言っても片手で持ったときには適度なずっしり感はあります。




ちなみにキットレンズのSIGMA 45mm F2.8 DG DNを装着した重さは実測で685gでした。
SIGMA 45mm F2.8 DG DNの重量が約250gとある程度の重さがあります。
素晴らしい色味のカラーモード
SIGMA fpを使っていて感じた一番のポイントがこのカラーモード。
他のメーカーのカメラにはない、独特で魅力的な色味が楽しめます。
なかでもパウダーブルー(Powder Blue)とティールアンドオレンジ(Teal and Orange)は、SNSなどでもよく見かける人気のカラーモードです。
どちらも写真の雰囲気がガラッと変わって、撮っていてとても楽しいんですよね。



フォレストグリーン(Forest Green)も緑色が映えてお気に入りです。
そのときの気分や被写体に合わせて、いろいろ試せるのもfpの面白さだなと感じました。
これらのカラーモードを使って撮った写真を載せてみました。
カラーモードによって印象が大きく変わるので、好みの色味を見つけるのも楽しみのひとつです。








使って感じたSIGMA fpの気になる点(デメリット)
グリップがないと非常に持ちにくい
SIGMA fpは、凹凸の少ないフラットなデザインが大きな特徴です。
ただそのぶん、背面にはほんの少しのひっかかりがある程度で、前面にはグリップがまったくありません。




実際に手にしてみて、「これはグリップなしではちょっと厳しいかも」と感じたので、購入してすぐに純正のグリップ HG-11を注文しました。


この純正グリップを装着することで、片手でのホールド感がぐっと安定します。
軽量ながらしっかり手にフィットしてくれて、持ち運びやすさも損なわれません。




ちなみに、グリップ自体の重さは45gと軽量で、グリップを装着したから重くなったとは感じませんでした。
純正のグリップということで、見た目の邪魔をしないデザインなのもうれしいポイントです。


他社製のグリップもいくつか出ていますが、個人的にはまずこの純正グリップを選んでおけば間違いないと思います。
AF-Cで子どもの撮影は厳しい
止まっている被写体を、スナップ的に撮影する分には、特にAFの遅さは気になりませんでした。
風景やモノを撮るなら、むしろゆったり構えて楽しめるカメラだと思います。
ただ、私のよくあるシチュエーションとして、子供と出かけたときの撮影となると話は別です。
SIGMA fpのAF性能では、動き回る子どもを追いかけながら撮るのは正直かなり厳しいと感じました。
AF-Cで追従しながら撮影、なんていうのは難しい思ってもらったほうがいいかもしれません。
なので、SIGMA fpで子どもを撮るときは、いかに子どもにちょっとでも止まってもらえるかがカギになります。
動きの少ない瞬間を見つけて撮る、もしくは声かけて一瞬止まってもらう。
そんな工夫が必要なカメラではありますが、それを楽しめる人には面白い相棒になると思います。
ファインダーがほしい
最初のほうで、この仕様には「触れない」と言っておきながら結局触れてしまいますが。
「背面モニターだけでもなんとかなるかな」と思っていたのですが、日中の明るい環境、特に晴れている屋外では、画面が見づらくてけっこう厳しいと感じました。
外付けで装着できる電子ビューファインダー EVF-11もあるのですが、まだ使ったことがないので使用感を一度試してみたいところです。


取り回しやすさや見え方なども含めて、レンタルして確認してみようかと検討中。
ちなみに、EVF-11はGOOPASS(グーパス)やRentioレンティオで取り扱っているのを確認済みなので、気になっている方はチェックしてみるのも良いかもしれません。
久しぶりにファインダーのないカメラを使ってみて感じたのは、自分にとってファインダーの有無が思っていた以上に大事なポイントだったと気づきました。
キットレンズのフード込みの全長が長い
SIGMA fpのキットレンズとして使っているSIGMA 45mm F2.8 DG DNは、ライカLマウントの中では比較的軽量でコンパクトな部類です。
ただ、フードを装着すると見た目以上に全長が想像していたより長く大きいと感じています。


SIGMA fpのボディがとても小さいぶん、レンズの存在感が余計に際立つ印象です。
SONY α7IVにコンパクトな広角ズームレンズ、SONY FE PZ 16-35mm F4 G(SELP1635G)装着し比較してみました。
もちろん、SIGMA fpの方がコンパクトではあるのですが、やはりSIGMA 45mm F2.8 DG DNの長さが気になります。


個人的には、ライカLマウントで薄型のパンケーキレンズがあれば、ぜひfpと組み合わせて使ってみたかったところです。
本体のコンパクトさをもっと活かせるレンズがあれば、街歩きや旅先でのスナップにも便利だと思いました。
後ろダイヤルの動きが軽い
SIGMA fpの後ろダイヤルの動きが個体差もあるかもしれませんが軽めに感じます。
私はここに露出補正を割り当てているのですが、撮影中に知らないうちにダイヤルが回っていて、設定が変わっていたことが何度かありました。


この点については、後に販売された高画素機のSIGMA fp Lでクリック感が強めに改善されています。
実際にカメラ屋さんでfp Lの実機を触ってみましたが、確かにダイヤルのクリック感が強くなっているのがわかりました。


SIGMAではfpについて、有償でパーツの調整(カスタマイズ)を受け付けていて、以下の仕様に変更が可能です。
- 後ろダイヤルをクリック感を強めに調整
- MODEボタンの高さの調整(高さを低くする)
- マイク端子カバーの対策(手が引っかかってカバーが空いてしまう問題)
詳しくは公式サイトに案内が出ているので、気になる方は一度チェックしてみると良いかもしれません。
その他
SIGMA fpにはメカシャッターが搭載されておらず、撮影はすべて電子シャッターのみになります。
そのため、被写体や撮影環境によっては「ローリングシャッター歪み」や「フリッカー」が発生する可能性があります。
ただ、私の使い方では、これらの現象が気になるような場面にはあまり遭遇しませんでした。
風景や静物が中心であれば、そこまで神経質になる必要はないかもしれません。
とはいえ、たとえば蛍光灯の下や動きの早い被写体を撮る場合には、注意が必要なポイントだと思います。
SIGMA fpは電子シャッターのみという仕様なので、このあたりはあらかじめ理解しておいた方が安心です。
SIGMA fpの作例
ここからは、実際にSIGMA fpで撮影した写真をいくつかご紹介します。
※微調整のためSIGMA Photo ProでRAW現像
光の雰囲気や色味、質感の描写など、SIGMA fpらしい写りを感じてもらえるとうれしいです。














SIGMA fpのアクセサリ
液晶保護フィルム


ハンドグリップ HG-11


バッテリー BP-51


バッテリーチャージャー BC-71


電子ビューファインダー EVF-11


SIGMA fpのレビューまとめ
SIGMA fpをしばらく使ったあとにα7IVを手に取ると、α7IVってこんなに使いやすかったっけ?と感じてしまうくらい、操作性や機能面での違いを実感します。
SIGMA fpは正直なところ使っていて気になる点やデメリットも多いカメラではあります。
それでも、SIGMA fpにはそれを補って余りある魅力がありました。
- 撮れる写真の解像感や色味がとにかくきれい
- 持っているだけでうれしくなる所有感がある
SIGMA fpは便利さや快適さだけでは測れない魅力のあるカメラだと思います。
じっくり撮影を楽しみたい人や、自分のペースで写真と向き合いたい人にはぴったりの1台かもしれません。




レンタルもおすすめ
SIGMA fpが気になっているけれど、いきなり購入するのはちょっと不安という場合は、レンタルで試してみるのもひとつの方法です。
実際に数日使ってみることで、自分の撮影スタイルに合っているかどうかを確認できます。
AF速度やサイズ感なども事前に体験できるのは大きなメリットです。